きり

きり
I
きり
(副助)
〔名詞「きり(切・限)」から。 主として話し言葉で用いられる語で, 「ぎり」「っきり」の形でも用いられる〕
体言またはそれに準ずる語や活用語の連用形・連体形, 一部の格助詞などに付く。
(1)ある事柄について, その範囲を限定し, それ以上には及ばない意を表す。 (ア)かぎり。 だけ。

「あなたとふたり~でお話ししたいと思います」「あの人には一度会った~で, その後はつきあっていません」(イ)ずっと…している。 …のままである。 「そばにつきっ~で看病する」「立ちっ~で乗っていた」

(2)(多く下に打ち消しの語を伴って)事物の存在・状態などの限度・限界を示すのに用いられる。

「…を最後として」「…のままで」などの意。 「ドイツへ行った~帰ってこない」「それっ~会っていません」「離婚した~今もひとり暮らしらしい」

(3)(「まるっきり」の形で)そのまま全部の意を表す。

「スポーツはまるっ~だめだ」「あの子はまるっ~いくじがない」

II
きり【切り・限り】
※一※ (名)
(1)物事がそこで終わりになる切れ目。 区切り。 ひと区切り。

「~のいいところでやめる」「~をつける」

(2)かぎり。 限界。 限度。

「ぐちを言い出せば~がない」

(3)芸能で, 終わりの部分。 (ア)能で, 一曲の終わりの部分。 また, 「切能(キリノウ)」の略。 (イ)浄瑠璃・歌舞伎で, 一段・一幕の終わりの部分。 また, 「大切り」「切狂言(キリキヨウゲン)」の略。 (ウ)寄席(ヨセ)で, その日の席の最後の出し物。 また, その演者。
(4)商品・株式取引で, 定期取引の受け渡し期限。 限月(ゲンゲツ)。 《限》「先~(サキギリ)」「当~(トウギリ)」
※二※ (接尾)
助数詞。 やや厚めに切ったものを数えるのに用いる。 きれ。

「ほし瓜三~ばかり食ひ切りて/宇治拾遺 7」

~が無・い
際限がない。 はてしがない。
III
きり【奇利】
思いがけない利益。
IV
きり【桐】
(1)ゴマノハグサ科の落葉高木。 古くから各地で植栽される。 葉は長い柄がある大きな広卵形で, 軟腺毛を密生。 初夏, 枝頂に淡紫色の花を多数円錐状につける。 材は軽く狂いが少ないので箪笥(タンス)・琴・下駄などにする。
〔「桐の花」は ﹝季﹞夏。 《~の花日かげを為すに至らざる/虚子》〕
(2)模様・紋章の一。 桐の花や葉を図案化したもの。 皇室の紋章。 また神紋にも用いられる。 五七の桐, 五三の桐など。
(3)花札で一二月にあたる札。
(4)〔胴に桐材を用いるので〕
琴の異名。
(5)〔桐紋の極印(ゴクイン)を打ってあるので〕
大判・小判, また, 金銭の異名。
V
きり【棋理】
囲碁・将棋の理論。

「~にかなう」

VI
きり【睽離】
〔「けいり(睽離)」の慣用読み〕
別れ別れになること。 また, 背き離れること。

「決して乖離し~したいとは願はないやうなものの/浮雲(四迷)」

VII
きり【肌理】
(1)皮膚のきめ。 きめ。
(2)木材などの, 材のもつ質感。 きめ。
VIII
きり【錐】
板などに小穴をあけるための道具。 先のとがった細い鉄の棒を木の柄につけたもの。

「~をもむ」

~嚢中(ノウチユウ)に処(オ)るが如(ゴト)し
〔史記(平原君伝)〕
すぐれた才能の人は, 隠れていてもいつかは必ず世に認められる。
~嚢(フクロ)に留(タマ)らず
「錐(キリ)嚢(フクロ)を脱す」に同じ。
~嚢(フクロ)を=脱(ダツ)す(=通(トオ)す)
〔袋の中の錐は, その先が袋からつき出しやすいことから〕
(1)物事の露顕しやすいことのたとえ。
(2)才智のある者は凡俗な人の中に交じっていても必ずその才能が目立つ存在になることのたとえ。
~を立つべき地(チ)
ごくわずかな場所。 立錐(リツスイ)の余地。
IX
きり【霧】
〔動詞「きる」の名詞形〕
(1)地表や水面の近くで水蒸気が凝結して無数の微小な水滴となり, 浮遊している現象。 発生場所によって海霧・山霧・盆地霧・川霧などに, また生因によって放射霧・移流霧・蒸気霧・前線霧などに分けられる。 ﹝季﹞秋。
〔平安以後, 秋のものを「霧」, 春のものを「霞(カスミ)」と言い分ける風があった〕
(2)微小な水滴を空気中に細かく散るように飛ばしたもの。

「~を吹いてアイロンをかける」

~不断(フダン)の香(コウ)を焚(タ)・く
〔霧を香の煙に見立てて〕
常に霧がたちこめているさま「甍(イラカ)やぶれては~・き, とぼそ落ちては月常住のともしびをかかぐ/平家(灌頂)」

Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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